高次脳機能障害と、発達障害脳

高次脳機能障害と、発達障害脳

こんにちは、花崎です!
先週、高次脳機能障害について聴講し、学ぶことができました。
(高次脳機能障害サポートネットしずおか事務局主催)
聖隷三方原病院の片桐医師による、県内の支援の現状と課題について。
それから中央大学・日本高次脳機能障害友の会顧問 公認心理師・臨床心理士 山口加代子先生の『高次脳機能障害ある方の心理支援』講演。

講演を聞いて

大変に勉強になりました。
そして現状と課題については、非定型発達の人へのそれと似通っており、まったく同じ類の支援が望まれるな、と感じました。

私が高次脳機能障害に関心をもったのは、ルポライター鈴木大介さんの本を読んだことがきっかけです。
鈴木さんの奥様は「大人の発達障害(診断なし)」。鈴木さんは脳の病気によってある日、高次脳機能に問題が出る「高次脳機能障害」になり、今まで普通にできていたことが突如できなくなった、脳機能障害を経験された方。

鈴木さんは『されど愛しきお妻様』の著書の中で、奥様の発達障害脳を、自身の脳の症状と同じであると理解し、初めてその苦労や、生きづらさや苦しみに共感できたといいます。
それまではご自分も、奥様の言動を理解できず、「できないところ」を責めてしまっていたそうです。
病気後は夫婦で支えあって、過ごしていらっしゃいます。

この本を読んだとき、お妻様の日常が、私の娘の日常と同じことばかりなので、「そうそう、それそれ♡」と、私はすごく楽しく読むことができました。本人は苦労しているし、支える家族だって大変です。それでも互いに相手を思いやって明るく笑って生きていきたい。

健常脳だった鈴木さんが41歳で脳梗塞で倒れ高次脳機能障害になるのですが、そうすると突如ネガティブ思考からの切り替えができなくなって涙するほどに苦しんだり、脳性疲労がすごかったり、思考力が低下しごく簡単なことさえ判断ができなくなったり、注意障害が出たり、左半側空間無視といって見えているだろうに空間の左側を認識できなかったりと、様々な症状がでたんですね。

私の想い

本を読んでいて思ったのは、発達障害の人の特性による苦手なことと、鈴木さんに現れた症状は、瓜二つだということです。

病院で診断されていない「大人の発達障害」の人。発達障害とまではいかない「非定型発達」の人。大人になるまで診断されていないということは、幼少期の特性が傍から見えるほど強くなかったということですね。または、困りごとが出ていても、周囲が認識しなかったか、本人もわけがわからず主張もできず、そのままに大人になってしまった人ですね。

発達障害脳の方は、ご自分の現状・症状を他人に「うまく説明」することができません。だから社会が怖い。会話が噛み合わないで揉めたとき、会話コミュニケーションで解決することができない能力で生きていくということは、大変にストレスがかかることです。

支援なく一人で困難と戦っている方たち。周囲から誤解され、時に侮辱され、たくさん傷ついて、自己肯定感も低くなってしまっている人たち。自分を説明する力を持たない人たち。
実際は鈴木さんの奥様のように、発達特性が強くて、社会に出ていくことも家事さえも大変な人がいます。それでも周囲にはその大変さが見えにくい。
そういう不思議があるのが発達特性など脳の特性です。

娘を見ていますから、私はそのような方たちの心の支援をしたいと、強く思っています。
鈴木さんは、ご自分が奥様と同じようになったことで奥様のことが理解できるようになったと本で書かれていますが、私は自分が体験していなくても、娘のことがわかります。
配膳をやりかけたまま、はたと水槽の魚に目を奪われ、見入ってしまって全くキッチンに戻ってこなくても、私は笑顔…、鈴木さんの言葉でいう「注意のロック」が起こったんだな、と思います。「おーーーーーーい♡」と呼ぶと「ハッ!」と気づき、戻ってきますよ。可愛いもんです。
私には強い「洞察力」や「共感力」があり、「他者の事情を汲み取る力」があり、それが人との関わりに生きています。

それから「繊細さん」についても思うことがあります。繊細さんはネガティブ思考からなかなか頭を切り離せない傾向がありますが、高次脳機能障害の脳の仕組みと同じようなものが働いているんじゃないかってこと。決して性格の問題だけじゃないってこと。
つまり、くよくよ考える性格だから=ネガティブなことへのぐるぐる思考になる=間違い(☓)で、脳の特性を持っているから=ぐるぐる思考になりやすい=違う方向へ自主的に考え方を持っていく必要がある(対策をしてみる必要がある)、のだと思っています。

お妻様は、そういう時、空を見る方法を教えてくれました。
娘も、空や雲の動きを見ると癒やしになるといいます。

精神科医 長沼睦雄先生の『活かそう!発達障害脳「いいところを伸ばす」は治療です。』
という本を読みました。大切なことをたくさん学べる素晴らしい本でした。
”発達障がいも、脳損傷による高次脳機能障害と同様に「見えない障がい」「見えにくい障がい」と言われていますが、それは「外見では普通だから」というだけでなく、「表面的にはできる」「頑張ればできる」「部分的にはできる」「ある状況ではできる」などの特徴があるからではないでしょうか ” 引用元:『活かそう!発達障害脳』花風社/長沼睦雄

そうなんですよ。発達特性も「いざ!」というときには、できたりします。それがさらに、人の判断を混乱させるんですね。できないときが手抜きのように思えたりします。
そういう事情のわからなさが、家族の感情を逆なですることもありますね。

HSCやHSP、発達特性、高次脳機能障害もそうですが、「見えない」ために、周囲からは本質を理解されず、心無い言葉を受け続ける。厳しい態度を受ける。本人は心が苦しい。そしてそういう人が真にリラックスして自分らしく生きるためには、周囲の人からの理解が本当に必要です。
人は誰でも”ありのままの自分”に肯定的に頷いてほしいのです♡
いいよ、そのままでいいねって。

話をわかってくれる、聞いてくれる人がいるだけで、救われるということがあると思います。
そして以前も書いたように、「わからない」を「わかる」へ変えていくための知識を増やしていくのがよいと思うのですが、今回の講演でもありました、大切なのは「家族支援」。

ご家族の支援をすることが、結果ご本人の支援へと繋がるのです♪

非定型発達さんのお母さんの集いをやりたい

ガス抜きをしないと、明るく楽しくの子育ては難しいんじゃないかと思います。
「なんでこんな行動をとるんだろう」
「どうして、そんなことを言うの?」
「聞いても答えない、なぜ黙ってるの?」
「なぜ、こんなに簡単なことができないんだろう」
「注意しても注意しても、なおせない、どうして?」
「教えたことしかやらない、というか、教えたことさえきちんとできない」
「年相応にできることが増えていかない、学習力がない」
「どんどん同級生の子たちとの間に差がでてきた気がする、不安」

色々ありますよね!
不思議も!!笑

そういうのを、お子さんへの「愛」を前提に、笑って話せる会をいつか企画します。
旦那さんも不思議な行動をとるんだよ、とか、義父が子どもとそっくり、とか、色々話したいことはあるんじゃないですか?

たくさん話して、心に元気エネルギーをチャージしましょう!
そういうお母さんも今度の12/12の交流会で集まってくれたら、お茶会の企画など進みそうですね。ぜひこぞっていらしてくださいね!
長く辛い体験をしてしまった子も、疲労やストレスが限界にきてしまった子も、脳の炎症で高次脳機能障害のような症状をだしてしまうことがあるかもしれませんね。
理由のハッキリしない場合も多いですが、どのようなケースであっても本人の不安は大きいです。本人が不安でいるとご家族だって心は安定しませんよね。ぜひ集いましょう。