娘が絶対に謝らなかった出来事

娘が絶対に謝らなかった出来事

こんにちは、花崎です!
私が娘の発達に「ん?」と思ったエピソードの一つをお話しします。
このときはまだ、発達凸凹の可能性に気づいてもいなかったのです。
さらにこの出来事があってもなお、発達の偏りには思いが届きませんでした。

近くにいる人、親だって、誰だって、案外そのようなものらしいですよ。
他のお母さんからも似たような話、聞きました。
不登校とか二次障害とか、何かしらの問題が見えてきた後から、皆さんいろんな情報を寄せ集めると様々気づいて、ハッとさせられたそうです。

中学1年生の夏

娘が中学生時の夏休み。
「今日こそ、皆んなで部屋の片づけをしよう!」と明るく私が号令をかけて、その日は掃除をすることにしたんです。もう一人も自分の部屋。私は家の掃除。娘は自分の部屋。

はっきり言って、私は毎日のようにモヤモヤしています。
最低限のやるべきことを、子どもたちがやらないから。学校関連荷物の片づけ、部屋の掃除。

で、号令をかけて、強制的にやらせるしかない状態が夏休みにやってきました。
ゴミ袋を一人に1枚渡し、まずは部屋いっぱいに散らばった学校の書類・教科書・グッズを片づけようと提案。

普段は出したものは出しっぱなし。本当にひどいものです。自分のものは自分で片づけてほしいこと、部屋は責任をもってキレイに使ってほしいことなど伝えてありますし、ところどころで言うことはありますが、でも片づけをやるか、やらないかは自己責任。放っておいていました。

だけど少々強く言ったくらいではダメです。もう無理やり「今日は掃除日!」と私が決めました。夏休みですからね、毎日学校や宿題に忙しい…の言い訳は通用しません!笑

掃除が進まない

ところが一向にやる気を見せない。床にしゃがんではいるんですが、物を触っては時間が過ぎ。何時間経っても、変化がない。何一つ物が減ってもいない印象です。

ゴミ袋は空っぽです。黙って見守っていましたが、1時間、2時間経過、3時間経過したときにとうとう口を出しました。

1学期間、片づけや掃除を怠っていた部屋、ゴミ屋敷のようになっている部屋、夏休みの今日くらい頑張って片づけようよ。これでは物も探せないでしょう。床には物が散らばっていて足の踏み場もないじゃない。掃除機もかけられない。不潔だと思わない? 1学期中にもらったいらないプリントを捨てて、ゴミも捨てて、部屋をすっきりさせよう。整理整頓しようよ。さぁ、皆んなでやろう!!

だけどその後も何一つ片づかず、さすがに呆れて、とうとう私、怒りの感情になってきて、強い口調になりました。もう午後になっていました。「ねっ、やろうよ!」

すると娘が返事もせず、動き出そうともせず。反抗してるわけでもないけど、指示に従うでもなくて。何だか悲しくなってきて。どうしてうちの子はこんなにだらしがないんだろう。なぜ言っても響かないんだろう。私が優しすぎるからなのか。いや、普段から言うべきことはハッキリ言ってるよね。もっと強く言わなきゃわからないのか? などなど心で自問自答しました!笑

ゴミの中に埋もれながら何もしないでうつむいている娘。不思議な状況です。
とうとう私、怒ってみることにしました。

娘の気持ち

すると娘が「何をしていいかわからない」ってボソリと言ったんです。
私は娘のことを定型発達の子と思って疑っていませんでしたから、心情は乱れます。
(はぁ~??ムカムカ 中学生でしょ、わからないなんて言い草はないよね!)って感じ。

「何をしていいかって、掃除に決まってるでしょう、何でやらないの!」
そのときの娘の態度は、人から理解されるようなものではなかったです。
まずね、返事をしません。

で私、強い口調になりながらも冷静に説得しました。
「床に散らばったものを、一つ一つ片づけていくんだよ。まずはいらないプリントを捨てればいいじゃん。教科書はぜんぶまとめて、集めて山に積んでみればいいじゃない…! 何も手をつけないまま、もう3時間だよ、いつになったらやりだすの??」

(中略)

無言でうつむいて黙り続ける娘。叱る私。黙ったままの娘。

(返事しないな、どうしてこの子は返事をしないんだろう、怒られたらゴメンくらい言えばいいのに。普通叱られたら、自分が悪かったら謝るよね、こんな態度だと学校で先生や部活の先輩に怒られたとき余計に怒られるよね、この子ってこんな対応する子だった? 大丈夫か? )

私の頭には、いろんな思いがよぎります。私は娘に言いました。

娘は私がどうして怒っているのかわからない

「ねえ、どうしてお母さんが怒ってるかわかる?」(やろうとしないからだよ)
「わからない…」
「えっ、わからないの? さっきから言ってるじゃない、普段は毎日忙しいから大目に見てたけど、さすがにこの部屋の散らかりようはひどいでしょ。それをせめて夏休みくらいは片付けようって言ってるの!…ガミガミ…」
「…」
「ねえ、なんで何も言わないの?」

すると娘が言いました。
「話が長くなると、何を言われてるのかわからなくなるから…」
「何がって、片づけのことを言ってるんでしょう」
「あぁ…。うん、だけど…。よくわからなくて…」
「何がわからないの! 一つずつ片づけていけばいいじゃない」
「でもどうやっていいかわからない」
「いらないものは捨ててよ」
「何がいらないのかわからない、全部いるものだし、捨てたら困る」

まあ、書ききれないやり取りがあり…笑
ビックリしたのは、何に叱られているのか、話を要約できないどころか理解できていないらしいってことでした。

当時は私、子どもの能力的に「できる」と信じていましたから、話は平行線だったんですけれど、今になって、色々な特性がわかってきて、そうすると娘の言い分に納得なのです。

最近はこんなこともありました

静岡では「テレビ寺子屋」というステキな教育番組があるんです。毎度違う講師の先生が招かれて、30分くらいの講話をしてくれる番組。

少し前のこと。斎藤孝先生の回の録画を一緒に見よう、と私は娘を誘いました。
最近では娘本人が、自分の発達凸凹を自覚していますから、話術や生き方のヒントにしてもらえたらな、という軽い気持ちからでした。

「斎藤先生は、相手を引き込むような、飽きさせない巧みな話術の方としても有名なんだよー」って前置きで、番組を見はじめました。お話とっても楽しかったです。

で、娘に「どうだったピンクハート」と聞いたら返ってきた返答が、こちら。
「話がポンポン飛ぶから、何を言ってたのか、全然記憶に残ってない。何一つわからなかった!」って!!

ウソでしょ、と思って、「”何も”ってことはないでしょう。どういうことを話してた? 勉強になったでしょう?」って会話を続けると、娘はこう言って笑うんです。
「こういう話し方やめてほしい、これじゃあ意味わからない、ユーモアとか混ぜないでほしい、冗談なら”今のは冗談です、ホントのことじゃないです”ってすぐに補足してほしい、じゃないと混乱しちゃうから」「話が飛ぶのも意味不明。何喋ってるのか、わからなくなっちゃう」「昔の人のことが出てきたり、現代の話になったり、質問があったり、含み笑いがあったり、もうムリ」

そうですか、ムリでしたか…笑
でもさらに突っ込んで30分間の話の内容を聞いてみたら、
「結局話は(緊張をほぐすために?)ポンポンジャンプしろって話?」だって!
それしか記憶に残ってないって!(愕然)

違うでしょ、「本当に頭のいい人の思考習慣」についてだったでしょ!笑

このとき私、過去と繋がった気がしたんです。
あー、そこまで一時記憶が苦手で、聞いた話の理解ができないんだなって。
(日常会話では、ちっともそんなこと、伝わってこないのにね…)

教科書通りのような典型文の日本語じゃないと苦手だし、空気を読むような反応もできない、これでは日常での困りごと、たくさんあるんだろうなって。聞いたことの1つに注意の意識がロックされちゃうから、次のセリフが聞き取れなかったり、一つの単語から想像を働かせちゃって頭で理解しようと考えてるうちに話は前に進んじゃってて、意味が繋がらなくなったり話についていけなくなったり。

どうやら相当大変らいしです。
つくづく思います。こちら側の判断で人を叱ったりしてはいけないって。

まとめ

発達の特性をよく勉強すると、片づけのできなさ、受け答えのできなさ、理解の苦手は、本人の努力不足ではなく、仕方がないことなのだとわかります。
片づけが苦手という特性を持つ人はかなりいますが、その全員が同じ理由ではないでしょうが、それぞれにちゃんとした理由があるんですよ。

娘の場合はまず、物が片づいた状況を想像することから苦手かもしれません。「物が”私を片づけて” ”私を片づけて”って、それぞれに言ってくる感じで(表現が面白い)、何から手をつけていいかわからない」とか、「そもそも物だらけの中から一つの物を特定判別できない」とか「捨てるものかの判断ができない」とか、もっともっといろんな理由があります。

相手の事情も知らないで、一方的に叱ることは、相手をとても傷つけ、自信を失わせてしまいますね。

特性の見え方が顕著でない場合は、気づいてあげるのが難しいのですが、気づきのきっかけともなる可能性の強いのが「対話」です。
相手の話を否定しないでよく聴くことで、相手の気持ちを知ることができます。

「困っている」ことを誰かにわかってもらうことは、当人のとって救いになることです。
どこに困るのかがわかれば支援に繋げることができます。
まずは、適切じゃないと思える行動をとっている人がいたら、何らかの事情があるのかもしれないと考えてあげられると、見方が優しくなりますね!