アドラー心理学を活用し現状を見てみる

アドラー心理学を活用し現状を見てみる

こんばんは、花崎です!
アドラー心理学では、人間のあらゆる行動は共同体(人々の集まり・社会・コミュニティ)
(家族・学校・職場・地域・サークルなど)への「所属」を目的としていて、所属を実感できたときにだけ人は幸福を感じられるということが言われています。

自分が望む所属ができないとき、自分がうまく所属できていないという感覚(劣等感)におそわれ、所属先のない劣等感を感じているとき人は、不幸や苦痛を感じる…と。

その考えから物事を見ていくと、不登校や、職場出社の苦痛などは、以下のように考えていくことができるかもしれません。

アドラー心理学を活用して物事を見てみる

会社だったら、皆んなより仕事ができなくて同僚らから軽蔑されている、嫌われているのか相手にされない(大切にされていない)、気を許して話せる人がいない、上司に叱責され続け人格を否定されている、話しかけても相手の反応が冷たい人ばかり、派遣で立場が違い孤立している、など、所属先に自分の居場所がない状態、心が安心できない状態があると人は辛いのです。

人間には、「存在欲」というものがあります。だから当然のこと。

学校に通う子どもにも同じことがいえます。クラスに居場所がない、部活内に居場所がない、自分だけ浮いている、存在をバカにされている、仲間と思える人(友だち)がいない、自分を出して過ごすことができない状況、ありのままの自分を友だちや先生に否定されている、笑うことのできない状況で通っている、など、自分の大切に思っている所属先で自分が受け容れられていないとき、仲間と所属を許されていないとき、苦しさを感じるし、そう考えないようにしようと頑張り続けると心身の不調があらわれてくるのです。

HSC・HSPには対人関係で悩む人が多い

ここからは、学校に所属先を見い出せないでいる繊細なお子さんに焦点を当てて考えてみたいと思います。

HSCは大人しく、自分の意見が言えなかったりして軽んじられてしまうことがあります。
また「不適切な行動」によって所属感を得ようと人の悪口をいいふらしたり、クラス仲間をけなしたりして自分の存在価値を高めようとするような誤った行為に、かなりの抵抗を持ちます。
力で生徒を従わせようと怒鳴ったり厳罰を与えるような先生の指導にも心を苦しめますね。

そう、人間には「存在欲」だけでなく「恐怖感」を持つ機能も生まれながらに備わっていて、存在を脅かすものは恐怖となる。それも自然なことです。

発達特性がある子たちは、運動や勉強や行動の出来の悪さから、やはり軽んじられやすい。
同級生と比べて評価され、傷ついて当たり前です。感受性が強く、深く状況を読み取れる子ほど、他者の自分への気持ちを読み取り劣等感を募らせやすいです。

ギフテッドの子もそう。ギフテッドに発達の特性が重なる2Eと呼ばれる子たちがいます。
同級生らとは知能の違いから考えが合わず孤立しがち、勉強ができるのに発達の凸凹から苦手があり、先生からは行動を理解されなかったりして授業態度が悪いと目の敵にされることも。

こういう子(人)たちが何らかの理由で所属感を得られず、心を苦しめてしまいやすいことに思いを馳せてみることができます。じゃあどうしたらいいか。それを考えていきたいですね。

心の苦しさは体調不良になってあらわれやすい

所属感が得られず苦しくなって、不登校になったお子さん、体調不良の出ているお子さん。

学校の先生に少し手伝ってもらって、その子の心が孤立しないように、クラスに居場所があると思えるように、少しでも居心地がよくなるようにと、工夫できることがあればしていくのがいいように思います。

体調不良のひどいときは、疲労蓄積の末の、限界後のエネルギー切れです。
心に余裕が出てくるように、まずはしっかりと家で休み、休養をとることが必要です。
睡眠時間をたっぷりとって、脳と身体を休めることを第一優先にしてほしいです。

支援の方向性は

支援の目標(目的)は、子ども自身が、所属先と共同体感覚(周りの人と結びついていると思え、そこで自分は他者の役に立てるんだ・役に立てて幸せと思える感覚)を、もう一度持てるようになることです。

担任の先生に味方になってもらって。保健室にも居場所を。職員室の先生にも援助をお願いして。スクールカウンセラーの先生、頼りましょう。

学校に行けない間は、「学校」という所属先を失っていますから、別のどこかに所属先がなければ絶望してしまいます。ですからちゃんと家庭に所属先がありますように。
勉強ができているからとか、学校に頑張って行ってるからとか、そんな「条件ナシ」に愛するのが本物の愛、そうした受容をしてもらってはじめて、人は自分のことも受容していけるのです。

親は今こそ、愛を言動で示すときです。
繰り返しますが、条件つきの愛じゃなくて、条件つきじゃない「ただありのままを愛する」愛!

周囲の人はたっぷりの愛で、支えましょう!

小さい頃はムギュッと抱きしめて愛情を示していたけれど、成長して身体が大きくなってくると、そういうこともしなくなっていますよね。愛情も、照れくさいからと言葉で伝えなくなっていますよね。
だけど心が弱っている人へは、ちょっとオーバーにでも伝えたほうがいいのです。

愛で、お子さんの心の苦しさを受け止めてあげてほしいです。
無条件に愛されているとき人は、安心を得ることができるのです。

学校にも所属先がない、家庭でも叱られて(学校に行けないからダメだと思われて態度に出されて)(家でだらだら遊んでばかり、ゲームして勉強しないと怒られて)(ちゃんと朝起きてこない、だらしがないと小言を言われて)、居場所・所属先がないと思えてしまったら子どもは、心が追い込まれてしまうのです。

思春期、どの子だって日々が精一杯で、心があやうくなりやすい時期です。
今学校に行けている子のなかにも、疲労が溜まっていっぱいいっぱいな子がいます。
学校が苦手な子は、9月、夏休み後、一番心が弱るときです。
学校に行けているお子さんであっても、愛情を今一度、伝えてみてほしいです。

ママ・パパにできることは、笑顔でいること。
ママ・パパが、心にゆとりを持つこと。
家族を分け隔てなく愛すること。
それからあらゆる人を、ありのままの状態で受け容れる姿を子に見せること♪

目に見えるもの、自分の頭で考えたことだけに心を動かされることはやめましょう。
自分の価値観は、正しいようで、正しくないこともあります。
情報を性格に得るには、ちゃんと話をしてみることです。
動きたくない、学校に行きたくない、という気持ちの問題のほかに、
動こうとしても動けない、身体がおかしい、という身体の問題。

多くの子が自律神経の乱れを体験しています。
どうして乱れるのかというと、気持ちで負けたからじゃないんです。
多くの宿題、夜更かし、睡眠の質の低下や乱れ、疲れていても休めない学校や部活、複雑な人間関係、難しい学校の勉強、あらゆる面で求められる能力の高さ。

そうして頑張っているうちに、まずは自律神経が乱れて、自分の身体なのにコントロールがきかない感じ、そして、感情もコントロールがきかなくなってきたりもすることがあります。
今の悩みは、多くの事柄が絡み合って生まれています。
一つひとつ紐解くことで、先の人生の問題までもを防ぐような心のケアが可能です。

まずは今、どんな「存在欲」と「恐怖感」にとらわれているのか、そこから一緒に考えてみることをご提案します。